令和6年からの処遇改善加算
2024年度の介護報酬改定により、従来の「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」が一本化され、新たに「介護職員等処遇改善加算」が創設されました。
この新制度は、介護職員の賃金向上や職場環境の改善を目的としており、事務負担の軽減も期待されています。
主な変更点として、制度の一本化、加算率の引き上げ、対象者や配分ルールの見直しが挙げられます。
加算を受けるためには、「キャリアパス要件」「月額賃金改善要件」「職場環境等要件」の3つの要件を満たす必要があります。
これらの要件は、算定する加算の区分に応じて異なり、加算率が高くなるほど厳しくなります。
介護事業者は、新基準に対応するための取り組みが求められます。
具体的な手続きとしては、「体制等状況一覧表」の届出、「処遇改善計画書」の作成・提出、施策の実行、「実績報告書」の作成・提出が必要です。
制度の一本化
加算率の引き上げ
新設される「介護職員等処遇改善加算」では、現行の3つの加算を全て取得している場合よりも、さらに加算率が引き上げられています。例えば訪問介護の新加算(T)の場合、加算率は現行の22.4%から24.5%に上がり、2.1%の増加となります。この引き上げにより、処遇改善加算の単位数が算出され、職員の賃金改善が期待されます。
また、障がい福祉職員に対しても、2024年度には2.5%、2025年度には2.0%のベースアップが確実に実現されるよう加算率が調整されています。さらに、経過措置期間中(2024年度末まで)は現行の加算率を維持しつつ、新たな加算率の引き上げが適用されることで、介護現場で働く職員の賃金が安定して改善される仕組みが導入されています。
対象者・配分ルールの撤廃と新設
新たな「介護職員等処遇改善加算」では、従来の配分ルールが大幅に見直されます。これまでの「介護職員等特定処遇改善加算」では、勤続10年以上の介護福祉士を中心とした賃金改善が求められていましたが、この基準は2024年3月で廃止されます。
新制度では、職種ごとの具体的な配分割合が撤廃され、「介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある介護職員に重点的に配分すること」が求められますが、各事業所はこれを柔軟に運用できるようになります。
さらに、2024年4月・5月の移行期間中も旧加算制度を利用する場合、介護職員以外への柔軟な配分が認められるため、事業所全体で効率的な賃金改善が可能です。ただし、特定の職員や事業所に対して偏った賃金改善を行うことは認められていません。この改定により、公平性を保ちながら柔軟な運用が期待されます。
新たな処遇改善加算の算定要件
