有給取得のルールは医療機関やクリニック・介護福祉事業所など、それぞれの事業所で決めてよい!
労働基準法や労働基準法施行規則には、有給休暇の付与についてのルールが決められています。
ただ、実際の運用についてはほとんど記載がなく、運用の詳細については各事業所に委ねられいるということになります。
一般的に、就業規則等で、有給休暇の申請についていつまでに申請するかが決められている。
多いのは、1ヶ月前までや、7日前となります。
また、「3日以上連続で取得する場合は、3ヶ月前までに申請すること」といったルールもよく見かけます。
まずは
・有給休暇の申請にについて何日前までに申請するのか
・連続で有給休暇を取得する場合には、さらに何日前までに申請するのか
・シフトの調整を誰がするのか
・本人や家族の病気等で、期限後の有給休暇の取得申請を認めるのかどうか
などの基本ルールを就業規則にて決めて、そして周知する必要があります。
労働基準法 |
当日の有給申請を拒否して欠勤扱いにすることも可能!
従業員の有給休暇の申請に対して、事業主には時季変更権というものがあります。
わかりやすくいうと、事業主は有給休暇の申請の申請を拒むことはできないが、有給休暇を認めることで現場が回らないような場合については、有給取得日の変更ができるというものです。
実際の判例だと、有給休暇の申請が、就業規則上のルールを無視して、当日の朝の申請がありました。
これについては、事業主としては有給休暇の申請を拒否したことについて、最高裁で事業主側の主張が認められました。
つまりは、当日の有給休暇の申請については、労働者の有給休暇は認められず、欠勤扱いになったというものです。(此花電報電話局事件 最高裁一小 昭57.3.18判決)
この判例をもって、全ての当日申請の有給休暇が認められないというわけではありませんが、一つの判断材料にはなると思います。
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上記の判例を踏まえて、具体的にどのように考えればいいのでしょうか。
有給の取得期限を7日前までと決めても、本人の体調不良で当日の朝、電話で有給を申し出るということは普通にあると思います。
この場合、まずはクリニックや介護福祉施設などの現場がまわるかどうかという視点を優先するべきだと思います。
それを文章にすると次のようなものになると思います。
「期限後の有給休暇の申請は原則として認めない。但し、有給取得するスタッフが自ら調整し、代わり出勤できるスタッフと連絡をとり、出勤の了解を得た場合には有給休暇として扱うこととする」
このように、実際の運用に合わせて就業規則に記載しておくことが大事です。
そして、最も大事なのは、有給休暇を取得させないことと、本人が必ず出勤するかどうかは別の問題として捉えておくことです。
つまり、有給を取得させないからといって、体調不良がなおるわけではないので、そこはシフトに穴があいてします。
そういったことをいつも想定して、事前に準備しておくことが大事です。
具体的にはシフトの自由がきかないスタッフだけで固めてしまうと、本当にシフトに穴が開いてしましますので、ある程度シフトの融通が利くスタッフを採用しておくことをお勧めします。